「どんな事にも……終りはあるさ……」土屋医師は、はっきり寝言とわかる声でいった。
「ただ……どんな終わり方をするかが、問題だ」
出典: 小松左京「復活の日」
西アフリカでエボラ出血熱感染が拡大している。
エボラ出血熱の原因となるウイルスは、映画アウトブレイクやホットゾーンをはじめとして、致死性の高い恐怖のウイルスとして名高いウイルスである。
エボラウイルスは、いくつかの亜種があるが、その中でも致死性が高いのが「エボラ・ザイール」という種で、 致死率は53%〜90%である。
致死性と感染性が高く、有効な治療法が無いため、このウイルスを扱う施設は、バイオセーフティレベル4という、最高度の安全実験施設でなければならない。
日本では、国立感染研究所と理化学研究所にはレベル4実験室が設備としてはあるが、近隣の住民反対で稼働することができない。
いままでのエボラウイルスは、その強い致死率から、感染者が他の人間に感染させる前に死亡するので、アフリカ大陸の限られた範囲での小規模な発生に留まっており、このウイルスが発見されてから30年以上が経過しているが、これまでの死者は2000人を超えた程度である。
発生箇所も、どちらかというと農村地域であり、 外部の人間の出入りが少ないため、感染者の捕捉や追跡も比較的容易であった。
マラリヤ、天然痘、インフルエンザといった数億人レベルの死亡者の絶対数では劣るが、致死率の高さは驚異的であり、毒性の低下とバーターで空気感染の能力を獲得した日には、リアル「復活の日」も想定されるところである。
ところが、遂にエボラウイルスが文明圏に侵入したかもしれないというショッキングな報道があり、加えて、一部の国では国境が閉鎖されているという報道もでてきた。
既に西アフリカでは600人を超える死亡者と米国人医療関係者にも感染が確認されており、前回までの小規模な流行とは様相を異にしている。
ここ最近では、マレーシア航空機の撃墜事件で約300人の乗客が亡くなり、世界的な問題となっているが、今回のエボラ出血熱による死者は、既に倍以上となっている。
今のところ、エボラウイルスに有効なワクチンは存在しないが、 英製薬大手のグラクソ・スミスクライン(GSK:LN)が買収したスイスのワクチン開発会社オカイロスが開発を手がけているとのこと。
おそらく、ワクチンができるにしても数年以上を要するものと思われるが、一刻も早く完成して欲しい。
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