2014/08/02

日本国の未来(2) そして誰もいなくなった。


今年に入ってから人口問題に関する報道が多くなっている。
その殆どは人口減少に関する内容で、日本国の未来に暗い影を落としている。

日本創世会議・人口減少問題検討部会が平成26年5月8日に公表した「ストップ少子化・地方元気戦略」では、2010年〜2030年の20〜30歳の女性人口の予想減少率から、896自治体に消滅可能性があるというショッキングな予想がでている。

また、 国土交通省が平成26年7月4日に公表した「国土のグランドデザイン2050」では、2050年に現在の居住地域の6割以上の地点で人口が半分となり、うち2割の地点で無居住か地域が消滅するという推計を前提としている。

この2つの資料は、読み込んでいくと概ね正しいデータ分析と推論であるものの、それぞれの団体の考える政策を推進するために多少のバイアスがあり、必ずしも主張どおりの未来になるとは限らない。

例えば、 小規模な集団の崩壊過程で生じる孤独恐怖症による大集団への帰属意識(「ひとりぼっちは怖いので、みんなについていきます。」というあれです。)による棄村の拡大や、2点の都市間の公共交通機関の充実に伴う「ストロー効果」により、規模の劣る都市が経済的に縮小する問題について、あえて触れていないことなどだ。

これらの問題は、社会心理学に属する範疇であることから、分析も難しく、専門家でない団体が考慮すべき事項ではないので、検討していないことを咎めるつもりはないが、心理的な要因で居住地や働く場所を決める人間が相当数いることを忘れてはならない。

むしろ、団体の性格から考えて、国が滅ぶかもしれないレベルの未来予測はできないと考えるのが自然であり、現実はもっと悪くなる可能性がある。

年金の破綻を顕在化させないために、人口推計において、実際は合計特殊出生率の低位推計値が最も現実に近いのに、あえて希望的観測である中位推計値を使用し続けたのと同じ構図が考えられる。

ただし、これらの公表資料は予測であって、投資でいえばアナリストの予想のようなものだ、私は配当株式への投資を主眼としているため、未来の予想よりも過去の実績を重視し、株式投資においては、投資企業のDividend-Historyを最も重視している。

日本国を投資対象として考えた場合、Dividend-Historyに相当するのが「人口動態総覧の年次推移表」である。

この表は1899年からの各年次の「出生数」「死亡数」「自然増減数」の3つの主要項目が掲載されており、単純な事実だけを記載した推移表である。

眺めているだけで、様々なことがわかる奥深い表なのだが、私は「出生数」を「売上高」、「死亡数」を「売上原価と販売費及び一般管理費」、「自然増減数」を「当期純利益=配当額」として考えている。(ちなみに外国人の増減は「営業外収益又は費用」「特別利益又は費用」に該当すると思うが、複雑になるので考慮外としている。)

この表によると1980年ごろまでは、ほぼ安定的に配当を行う優良企業であったが、以降は一貫して減配傾向で優良企業からの転落である。とうとう2005年からは、純利益が枯渇による企業の衰退が始まり、7年連続の赤字企業として、いまも赤字が拡大中である。
人口全体をストックとして考えると、資産を切り売りして延命している企業に類似している。

赤字企業の常として、売上に対する経費が高いことが原因であることが多いが、平成25年の死亡者数は、太平洋戦争の初期から中期(昭和15年〜昭和18年)の各年次の死亡者数を既に超えている状況で、もはや戦時下レベルといって過言ではない。

リタイア後の居住地について、10年ぐらいかけて選定しようと思っているが、 首都圏又は地方ブロックの中心的な政令指定都市以外は、急激に衰退していくことがほぼ確定的なため、これらの都市から選択していくことになるのだろう。

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