2014/06/28

これは、大本営発表ではないのか?「平成26年度 年金再検証」


リタイア後の収入は配当収入の他には年金しかないので、リタイア後にどの程度年金がもらえるかは非常に重要だ。

平成26年6月3日に公表された5年に一回の年金の再検証の内容を見てみた。

概要は「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し(平成26年財政検証結果)」
詳細は「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し(詳細結果)(平成26年財政検証詳細結果(財政見通し等))」
対策は「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しの関連試算(オプション試算結果)」

一言でいうと、「大本営発表」なのではないか。

例えば、平成35年度までの足下の経済前提では、経済が順調な場合のケースで平成35年度の運用利回りが「4.9%」、賃金上昇率が「4.1%」、順調ではないケースでは、運用利回り「3.4%」で賃金上昇率が「2.7%」となっている。

運用の相当部分を日本国債(10年もの0.5%〜1.0%程度) にたよる以上、多少株式の運用を増やしたところで、こんな運用利回りが実現できるとは思えない。

そもそも、サラリーマンの社会保険料については、半分程度が会社負担であり、今後社会保険料率がどんどん上昇することが確定しているのに、賃金を上げる愚かな経営者は皆無であろう。

例えば、平成15年から平成24年までの社会保険料上昇分は以下のとおり。

  平成15年             平成24年
  健康保険料    8.200% → 健康保険料   10.010%
  介護保険料    0.890% → 介護保険料    1.550%
  厚生年金保険料  13.580% → 厚生年金保険料  16.766%
  児童手当拠出金  0.090% → 児童手当拠出金  0.150%
   合計 22.76%          合計 28.476%(+5.716%)

  会社負担分   11.38% → 会社負担分 14.238%

ここ10年で、デフレにより売上が減少又は横這いなのに、社会保険料率は右肩上がりであった。

今回の年金再検証を見ても、社会保険料が雪だるま式に増えるのに、賃金が上昇する前提になっている。

年金の未払を防ぐために払い損にならないというメッセージ性を優先させたのか、年金制度を所管する官庁の責任を問われることを恐れたのだろう。

いつも不思議に思うのは、5年毎に再検証するのであれば、前回予想を下回った理由を検証し、結果責任を問うべきなのだが、不問にされている。

年金はリタイア後の生活レベルに相当な影響を与えるため、希望的推計値ではなく、現実と常識的な推定値に基づいて検証して欲しい。

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